超未来STORY Vol.1「貢献」
2085時代背景
再生医療が進歩した2085年、あらゆる病気やケガだけでなく老化すら治療が可能になった。「病院」は存在せず、人類はついに“不老不死”を実現する。しかしその代わりに、「いかにして人生を終えるか?」という新たな課題に直面している。人の健康を司る機関は、人口増加・資源枯渇を理由に、各個人に人生にピリオドを打つ権利を与えたが、多くの人々はその動機を見出すことができずにいた。そこで生まれたのが「エンディングデザイン」という行政と民間が提供するサービス。個人のライフログデータなどの記憶情報に基づいた企画・演出を行い、一人ひとりに合わせた人生の終わりをデザインする。人々は「最高の最期をどう迎えるか?」について考え、ある種の死への憧れを抱くようになっていた。
シナリオの主人公
Name
田中ケビン
Gender
男性
Age
30
Stay
東京
Occupation
エンディングデザイナー
祖父の不慮の事故がきっかけでエンディングデザインに興味を持つ。相談者を笑顔のまま送り出すことをモットーとしている。
自分らしい最期を希望する人々が、エンディングデザイナーである田中ケビンのもとを毎日のように訪れる。今日も勤務先の「Departure Center」でクライアントを待っていた。すると、やって来たのは見慣れた姿。そう、彼の祖母であった。神妙な面持ちで「お願いがあるの。私の最期をデザインしてほしい」と懇願する。150歳まで生きた彼女は「自分の人生に満足した」と。彼は不慮の事故による祖父の死がきっかけとなり、この職業についた。だからこそ祖母には最高の最期を提供したいと考える。
まず彼女の耳裏にある記憶チップから外部ライフログにアクセスし、過去の思い出を分析する。本来、他人の外部記憶データにアクセスすることは不可能だが、国家公務員であるエンディングデザイナ―にのみ許された特権だ。彼女は「亡くなったおじいちゃんともう一度デートがしたい」という希望を伝える。祖母の願いを叶えるため、ライフログ内の記憶から感情が高まった瞬間や幸福度のデータを分析し、ストーリーを組み立てる。彼女が心から望むハッピーエンドを描くために。
バーチャル上で再会した場所は、祖父からプロポーズを受けた思い出の公園。二人は家族に見守られる中、満面の笑みをたたえたまま旅立っていった。
人々の記憶データをもとに人生の閉じ方を企画・演出するエンディングデザイナ―の役割は多岐に渡る。中でも重要なのは、旅立っていった人々の記憶データをきちんと処理すること。エンディングデザイナーによって最期を迎える人には、自分の人生で得たノウハウを社会に還元する「記憶ドナー制度」に参加するか否かの選択が与えられる。還元された人々の記憶は記憶データバンクに送られ、社会の集合知としてアクセス可能な共有財産となる。
彼の今日の仕事は、先日見送った祖母の記憶データの処理だ。プライベートの情報を丁寧に取り除き、祖母が150年の人生で得た数多くの知見をスクリーニングする。彼女は本当に家族や友人を大切にする人であった。「家族円満の秘訣」「ケンカの後の仲直りの仕方」「傷ついた人の慰め方」など、言語化やマニュアル化が難しいが、生きていく上での重要なノウハウを記憶データバンクに登録する。彼は自分の手で祖母を見送ってからしばらく寂しさを感じていたが、彼女が生きた証が未来のためのナレッジとなり、また誰かの役に立つと思うと、その気持ちが少しずつ和らいでいった。
このシナリオから考えられる
希少性と田中貴金属の役割
この時代の希少性
人生を終えられること自体が希少化
田中貴金属の強み
ライフログを取るための脳内記憶チップの開発
田中貴金属の役割
未来への資産となる記憶データバンクの管理・運営を行う企業
この未来に至るまでの
時代の変遷
2070ー2080
希少性の価値
死を迎えることが希少化
人の幸せ
人生を満足した状態で終えられること
年代の未来洞察
- 健康+長寿命化が実現しており「死」が身近にない世界
- 人の記憶を外部デバイスで見ることができる
- 「死」が崇高な信仰の対象となっている
田中貴金属の強み
身体の親和性が高い貴金属の技術
田中貴金属の役割
最適な死を迎えるための思い出をサポートする技術を持つ企業
2065
自己実現として「終」を
捉える社会的価値観の勃興
2050ー2060
希少性の価値
“良い死”を迎えることが希少化
人の幸せ
人生の最期の瞬間を恐怖で終わらない
年代の未来洞察
- 全世界で安楽死が認められている
- 身体的・精神的な痛みを制御できるようになる
- 身体の不思議が全て解明されている
田中貴金属の強み
医療用事業の拡大・展開
田中貴金属の役割
医療処置に重要とされる部材を提供する企業
2045
医療技術の発展により、
寿命という概念の消失
2030ー2040
希少性の価値
安楽死を選べることが希少化
人の幸せ
長く生きることが求められ、痛みがなく人生の最期が迎えらえる
年代の未来洞察
- 人類の寿命が毎年長くなっている
- 安楽死を法的に認めるように全世界で活動が行われている
- 身体的痛みをある程度緩和する技術が発達している
田中貴金属の強み
微細加工技術
田中貴金属の役割
緩和ケアに必要な部材を提供する企業
NOW
この超未来STORYの
編集メンバー
-
TANAKA未来研究所
Y.K
-
THD システム本部
A.A
-
TKK PGMカンパニー
A.Y
Illustration by Wakana Honda
この未来がオモシロイ!と
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※各STORYは架空の話です。
実際の田中貴金属の商品、
サービス等とは一切関係がありません。