DOCK2085 超未来構想プロジェクト

超未来STORY Vol.1「貢献」

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2085時代背景

2085年、人が物心をつく頃に直面する悩みごとは「自分の生きる意味」を見出すことである。悩みの原因は医療技術の大いなる発達。身体のカスタマイズはもちろん、性格や思考パターンも何万とあるDLサイトから好みのデータをインストール可能だ。流行のデータに人気は偏り、個性的に見える人々も結局は誰かのコピーとなる。しかし、最近は「自分のルーツ」から個々のオリジナリティを見つめ直す動きが話題に。DNA解析と性別を掛け合わせ、自分の家族や祖先の情報から「自分らしさ」を見出し、生きる指針とする仕組みだ。このムーブメントが広がれば、未来の人々に向けたビジョンを描きながら生きる選択ができるため、利他的な思想が広がり、社会全体に良い影響を与えるだろう。

シナリオの主人公

Name

ハザマホウデン

Gender

Age

18

Stay

火山の中腹

Occupation

ライトワーカー

自身も生きる意味を見失ったことがある過去があり、その経験からライトワーカーを志望。自分と同じように、誰かの新しい進路を見つけ出すことに使命感とやりがいを感じている。

人の同質化が進み、生きる意味を見失う人々が増えている社会で注目を集めている仕事。それは、生きるための道しるべを探す「ライトワーカー」という職業だ。今日もハザマホウデンのもとに一人の若い女性が訪れた。流行りの顔、スラっとしたカスタムの手足、ブランドの服で固められた女性は「自分のことが分からなくなった」という悩みを打ち明ける。ヒアリングを終えた彼は、慣れた手つきで彼女のDNAチップを読み取り、ゴールドディスクにバックアップをとるとバーチャル空間へ導いた。すると、自分のこれまでの人生だけでなく、両親や祖父母、そのずっと先の先祖が過ごした人生が仮想現実として広がっている。彼女はそのすべてを追体験しながら、自分の受け継いできた血筋やDNAから共通する信念や哲学を感覚として見つけ出した。時間にして10分ほど。ライトワーカーの手によって、生きる意味を見出した彼女は霧が晴れたようなスッキリとした表情をしていた。彼女の人生に1つ、明かりが灯った瞬間である.彼は最後に、彼女が見つけたアイデンティティが活きるであろうコミュニティを紹介して送り出す。自身のルーツから真の個性や生きる目的を見つけだした人々は、他者や流行に流されることなく自信に満ち溢れた表情で新しい一歩を踏み出していく。

今日も彼のところへ一人の若者がやってきた。「前田」と名乗る男性の相談は、「キャリアAIから推奨される仕事が継続できない」というものだ。ライトワーカーのハザマホウデンは、いつも通りDNAチップを読み取ってバーチャル空間を展開すると、前田家の始祖まで遡った家系図が一覧化された。その中から男性のルーツを探し出す。読み解いた家系図を操作し、男性に次々と先祖の人格AIを当てはめていくその様子は、まるで洋服を買う前に試着を繰り替えすような感覚だ。通常、肉体が他人の人格を拒絶するケースは多いが、同じ血筋を持つ者同士であれば高確率でシンクロできる。男性は「人格の試着」を通して、前田家は菅家、土師氏に通じることを知る。そして自身の一族には建築業に携わったり、モノづくりが得意な人物が多いことを確認する。そして、心の奥底にあるモノづくりへのこだわり・やりがいを先祖の人格を通じて再認識したのだった。男性は「ようやく自分のやりたいことが見つかった。ありがとう」とつぶやき、ハザマホウデンの元を去っていった。また1つ、人生に明かりが灯った。

このシナリオから考えられる
希少性と田中貴金属の役割

この時代の希少性

自分らしさや自分らしく生きる目的が希少化

田中貴金属の強み

未来へ遺すためのDNA配列を記録し保存するDNAチップの製造

田中貴金属の役割

DNAを証明し保存する身体ゴールドディスクの製造を行う企業

この未来に至るまでの
時代の変遷

詳しい年表はこちら

2070ー2080

希少性の価値

生きる意味を見出すことが希少化

人の幸せ

自身のルーツにマッチする考え方や表現

年代の未来洞察
  • ヒトの生殖活動の工業規格化が進行。規格内の0歳児死亡率がほぼ0%となる
  • ヒトの生殖活動の工業規格化に反発するマイノリティが現れる
  • ヒトは生まれながらに規格品としての時間情報に紐づけられた人生を全うする
田中貴金属の強み

貴金属を用いたDNA改変防止技術やDNA情報の保存と信用担保を付与したゴールドディスクの製造及び保管

田中貴金属の役割

DNA情報と氏姓鑑別に基づく有職故実を紐づける企業

2065

仮想空間での価値変化の飽和から現実世界への揺り戻りの際の時間価値の再考

2050ー2060

希少性の価値

時空間距離を縮めることが希少化

人の幸せ

現実世界と仮想世界を自由に行き来し、現実で満たされない幸せを得る

年代の未来洞察
  • 半導体技術の進歩により仮想世界の没入感が極まる
  • 半導体技術の進歩により情報通信のタイムラグがなくなる
  • 超富裕層のみが現実世界で穏やかな生活を送れる。中流階層以下は仮想世界へ平和や安全を求める
  • 現実世界での制度等による規制強化が仮想世界での自由強調を誘発する
田中貴金属の強み

省資源で高性能・高信頼性を担保する材料特性を活かした貴金属のハンドリング技術

田中貴金属の役割

現実世界と仮想世界の両方で貴金属による信用の象徴として認識される企業

2045

現実世界での価値変化の飽和による仮想空間への価値移入

2030ー2040

希少性の価値

淘汰された後に残るリアルなモノが希少化

人の幸せ

マズローの欲求段階の上位を保障するために洗練された一次欲求(生理的欲求)を満たす

年代の未来洞察
  • 紛争、疫病、天変地異による自然淘汰が始まり、結果的に人口のグレートリセットが達成される
  • 情報通信のボーダレス化や現物輸送の鎖国化が顕著になる
  • 各社会システムごとに民族自決の機運が高まり、既存制度の破壊と再生が進行。世界的な情勢不安となる
  • 食料を含む広義のエネルギー争奪が激化し、広義のエネルギーに地産地消化が急務となる
田中貴金属の強み

現物保障(トレーサビリティなど)を行える集中管理

田中貴金属の役割

貴金属の特殊な性能・性質を把握することで信頼性担保ができる企業

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この超未来STORYの
編集メンバー

  • TANAKA未来研究所

    T.I

  • TKK 新事業開発統括部

    S.A

  • THD 購買推進室

    T.K

  • TKK 新事業開発統括部

    S.S

Illustration by Runa Sato